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WordPress と静的 HTML、どちらを選ぶべきか
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この記事の結論
「WordPress だから遅い」は正確ではありません。Web Almanac 2025 で WordPress のモバイル合格率が 43.44% と CMS 最低なのは事実ですが、これは低品質テーマ・プラグイン過多・未最適化ホスティングという母集団の効果です。適切に作れば WordPress も静的 HTML もどちらも高速になります。選択の本当の分かれ目は速度ではなく、更新頻度・運用体制・セキュリティ要件。技術名で迷うより、「公開後に何を実測し続けるか」を決めるほうが重要です。
1. 「WordPress だから遅い」の誤解
「WordPress は遅い」とよく言われます。しかしこれは、技術そのものの問題ではなく、使われ方の問題です。WordPress は世界中で最も使われている CMS であり、利用者の幅が広いぶん、雑に作られたサイトも大量に含まれます。
遅い WordPress サイトの正体は、たいてい 低品質なテーマ・入れすぎたプラグイン・最適化されていない安価なホスティングの組み合わせです。逆に、テーマを吟味し、プラグインを最小限にし、まともなサーバーに置けば、WordPress でも十分に速いサイトになります。
正確に言えば、「適切に作られた WordPress も静的 HTML も、どちらも高速なサイトたり得る。ただし平均的な WordPress サイトの合格率は低い」。これがデータに基づいた中立な見方です。
2. 数字で見る CMS 別の合格率
Web Almanac 2025 は、CMS ごとに Core Web Vitals の合格率を集計しています。WordPress のモバイル全 CWV 合格率は 43.44% で、主要 CMS の中で最も低い数字です。
比較すると、Duda が 83.63%、Shopify が 75.22%、Wix が 70.76%、Squarespace が 67.66%、Drupal が 59.07%。WordPress だけが大きく下にいます。一方で WordPress は、W3Techs の 2026 年 5 月時点のデータで 全 Web の 42.2%、CMS 利用サイトの 59.6% を占める大きな利用シェアを持ちます。
つまり「最も使われているが、平均品質では最下位」という構図です。これは WordPress を選ぶこと自体が悪いという意味ではなく、「WordPress を選ぶなら、平均から抜け出す作り方を意識する必要がある」ということを示しています。
3. WordPress が選ばれる理由
合格率が低くても WordPress が世界の 4 割超で使われているのには、明確な理由があります。最大の強みは 管理画面から専門知識なしで更新できること。記事の追加・写真の差し替え・お知らせの掲載を、担当者が自分の手で行えます。
もうひとつは プラグインのエコシステム。問い合わせフォーム、予約システム、EC 機能などを後から足せます。この柔軟さは、頻繁に情報を発信したい中小企業にとって実用的な価値です。
注意点は、その柔軟さがそのままリスクの裏返しになること。プラグインを足すほどコードが累積して重くなり、後述するセキュリティ上の弱点も増えます。WordPress を選ぶなら「足す自由」を「足さない規律」で抑える設計が前提になります。
4. 静的 HTML が向く場面
静的 HTML は、あらかじめ完成したページファイルをサーバーに置いておく方式です。アクセスのたびにプログラムが動いてページを組み立てる WordPress と違い、出来上がったものをそのまま返すため、表示の出発点が速くなります。
向いているのは、ページ数が比較的限られ、更新頻度がそれほど高くないサイト。会社案内・サービス紹介・採用情報といった「内容が安定しているページ」を中心に構成するなら、静的 HTML の速さと安全性がそのまま活きます。
弱点は更新です。ブログのように毎週記事を足すサイトでは、更新のたびに制作者の手やビルド作業が必要になります。「誰でも管理画面から自由に編集する」運用には向きません。更新頻度と運用体制が、静的 HTML を選べるかどうかの分かれ目です。
5. セキュリティ面の違い
表示速度と並んで無視できないのがセキュリティです。WordPress エコシステムでは 2025 年に 11,334 件の新規脆弱性が報告され、前年比 42% 増。その内訳が重要で、91% がプラグイン、9% がテーマ、コア本体はわずか 6 件でした(Patchstack 2025)。
つまり WordPress 本体は堅牢で、リスクのほぼ全てがサードパーティのプラグイン・テーマに起因します。「プラグインを入れすぎない・更新を怠らない・有料テーマも安全とは限らない」が、実データに裏打ちされた鉄則です。
静的 HTML は、そもそも動的に処理を実行するプログラムがサーバー上にないため、攻撃の対象になる面が構造的に少なくなります。これは静的 HTML の明確な利点です。ただし「静的だから絶対安全」ではなく、フォーム連携や外部サービスの扱いには変わらず注意が必要です。
6. 【Top 5】選択を決める判断軸
技術名で迷うのではなく、次の 5 つの軸で自社の状況を整理すると、おのずと答えが出ます。
更新頻度 — 社内で週単位・月単位に情報発信するなら WordPress。年に数回程度なら静的 HTML でも困らない。
運用体制 — 担当者が自分で管理画面から触りたいなら WordPress。更新は制作者に任せる前提なら静的 HTML が向く。
セキュリティ要件 — 攻撃対象面を最小にしたい、保守の手間を抑えたいなら静的 HTML。WordPress ならプラグイン管理と更新の運用を必ずセットにする。
必要な機能 — 予約・EC・会員機能などを多用するなら WordPress のプラグイン資産が現実的。シンプルな問い合わせだけなら静的 HTML で足りる。
公開後の保守予算 — WordPress はプラグイン更新・バックアップなど継続的な保守コストが発生する。静的 HTML は保守が軽い。長期の運用費まで含めて比較する。
大事なのは技術名そのものではありません。WordPress でも静的 HTML でも、公開後に Core Web Vitals とセキュリティを実測し続けられるかどうかが品質を決めます。T.C.HARTON は全ページの実測を 方法論ページで公開しています。発注前に「どちらを選ぶか」と「何を測り続けるか」を一緒に決めましょう。
よくある質問
- WordPress は静的 HTML より遅いのですか?
- 「WordPress だから遅い」というのは正確ではありません。Web Almanac 2025 では WordPress サイトのモバイル全 Core Web Vitals 合格率は 43.44% で主要 CMS の中で最も低いものの、これは低品質テーマ・プラグイン過多・未最適化ホスティングといった母集団の影響です。適切に作られた WordPress も静的 HTML も、どちらも高速なサイトたり得ます。
- なぜ WordPress はこれほど使われているのですか?
- W3Techs の 2026 年 5 月時点のデータでは、WordPress は全 Web サイトの 42.2%、CMS を使うサイトの中では 59.6% を占めます。管理画面から専門知識なしで記事を更新でき、機能を追加するプラグインのエコシステムが巨大なため、更新頻度が高いサイトや担当者が自分で運用したいケースで選ばれています。
- 静的 HTML のデメリットは何ですか?
- 静的 HTML は表示が速くセキュリティ面で有利ですが、ブログのように頻繁に記事を追加するサイトでは、更新のたびに制作者の手やビルド作業が必要になります。管理画面から誰でも更新する運用には向きません。更新頻度と運用体制が選択の分かれ目になります。
- 中小企業はどちらを選ぶべきですか?
- 判断軸は更新頻度・運用体制・予算・セキュリティ要件です。社内で頻繁に情報発信するなら WordPress を適切に設計して使う、ページ数が限られ表示速度と安全性を最優先するなら静的 HTML、というのが基本です。重要なのは技術名そのものではなく、どちらを選んでも公開後に速度とセキュリティを実測し続けることです。
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出典
- Web Almanac 2025, CMS — almanac.httparchive.org/en/2025/cms
- Web Almanac 2025, Performance — almanac.httparchive.org/en/2025/performance
- W3Techs, Usage statistics of WordPress — w3techs.com/technologies/details/cm-wordpress
- Patchstack, State of WordPress Security in 2025 — patchstack.com/whitepaper/state-of-wordpress-security-in-2025
- web.dev, Web Vitals — web.dev/articles/vitals
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