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Insight / 機械に伝わるデータ設計

GA4 で AI 流入を正しく計測する方法

読了目安 8 分

この記事の結論

GA4 はデフォルト設定のままだと、ChatGPT や Perplexity からの訪問者の多くを Direct に誤分類します。ある調査では、AI 流入の 約 6〜7 割が本来の参照元を失っていると報告されています。対策は、GA4 に AI assistants というカスタムチャネルグループを作り、正規表現で AI サービスのドメインを振り分けること。ただしモバイルアプリ内ブラウザ経由のぶんは原理的に取りこぼすため、「見えている数字は実際より少ない」と理解した上で使います。

AI の回答から サイトへ訪問 参照元が残った訪問 PC ブラウザのリンククリック等 参照元が消えた訪問 アプリ内ブラウザ・URL コピペ AI assistants 正しく分類 Direct 誤分類されてしまう 設定で救えるのは上の経路。下の経路は原理的に取りこぼす。
図 1:AI からの訪問は 2 つの経路に分かれる。参照元が残る経路は設定で救えるが、参照元が消える経路は誤分類されたままになる。

1. なぜ GA4 は AI 流入を取りこぼすのか

GA4 が流入元を判定する手がかりは「参照元(referrer)」です。あるサイトのリンクをクリックして別サイトに移動すると、移動先には「どこから来たか」の情報が渡ります。GA4 はこれを読んでチャネルを振り分けています。

ところが AI サービス経由の訪問では、この参照元がしばしば消えます。原因は主に 2 つ。1 つはスマートフォンのアプリ内ブラウザ(webview)が参照元を削除すること。もう 1 つは、ユーザーが AI の回答に出た URL を手でコピーしてブラウザに貼り付ける行動です。どちらも「どこから来たか」が残りません。

参照元が消えた訪問を、GA4 は Direct(直接流入)に分類します。ある調査では、AI 流入の約 6〜7 割が本来の参照元を失い Direct 等に誤分類されると報告されています(martech.org)。つまりデフォルトのレポートだけ見ていると、AI の影響を実際よりずっと小さく見積もってしまいます。

2. 「Direct が多い」の正体を知る

GA4 の「Direct」は、本来「ブックマークや URL 直打ちで来た人」を指します。しかし実際には、参照元が判定できなかった訪問の受け皿にもなっています。AI 流入の取りこぼしぶんも、SNS アプリ経由の一部も、ここに混ざります。

だから「Direct が急に増えた」とき、その中身を疑う価値があります。とくに AI 検索が普及した 2025 年以降、Direct の一部は「正体不明」ではなく「AI 経由だが参照元が消えたもの」である可能性が高まっています。

完全な切り分けはできませんが、手がかりはあります。AI で言及されやすい記事ページへの Direct 流入が増えていないか、その訪問が新規ユーザー中心かどうか。これらを併せて見ると、Direct の中に隠れた AI 流入の輪郭が少しずつ見えてきます。

GA4 の「Direct」の中身 本来の Direct(ブックマーク・URL 直打ち) 参照元が消えた AI 流入(隠れている) SNS アプリ経由などの一部 救いたいのはここ AI assistants チャネルへ分離
図 2:Direct は「正体不明の訪問」の受け皿。設定で救えるのは、参照元がまだ残っている AI 流入の部分。

3. カスタムチャネルグループの作り方

GA4 のデフォルトチャネルグループは編集できません。そこで「カスタムチャネルグループ」を新しく作ります。手順は、管理画面の「データの表示」→「チャネルグループ」→「新しいチャネルグループを作成」です。

新規グループの中に AI assistants というチャネルを追加し、条件を「参照元(Source)が正規表現に一致」に設定します。正規表現には chatgpt|perplexity|gemini|copilot|claude のように、AI サービスのドメインの一部をパイプ(縦棒)でつなげて並べます。

並び順も重要です。AI assistants チャネルは、Organic Search や Referral よりに置きます。GA4 は上から順に条件を当てはめるため、上に置かないと AI 流入が先に Organic Search などに吸い込まれてしまうからです。最後にこのカスタムグループを「プライマリ」に指定すれば、標準レポートにも反映されます。

1 カスタムチャネルグループを新規作成 2 AI assistants チャネルを追加 3 参照元の正規表現で条件を指定 4 チャネルを並び順の上位に置く 条件の例 Source が正規表現に一致: chatgpt|perplexity|gemini|copilot|claude 並び順は Organic Search より上に
図 3:設定は 4 ステップ。鍵は「正規表現の条件」と「チャネルの並び順」。上位に置かないと AI 流入が他チャネルに吸われる。

4. 【Top 5】AI assistants に登録する 5 つの参照元

正規表現に入れておきたい代表的な参照元ドメインは、次の 5 つです。AI サービスは入れ替わりが早いため、数か月ごとにこのリストを見直してください。

chatgpt.com

ChatGPT。検索機能やブラウジング機能からのリンク流入がここに含まれます。利用者数が多く、まず押さえるべき参照元です。

perplexity.ai

Perplexity。回答に出典リンクを多く並べる設計で、相対的にサイトへの送客が起きやすい AI 検索です。

gemini.google.com

Gemini。Google の AI アシスタント単体からの流入。Google 検索内の AI Overviews とは参照元が異なる点に注意します。

copilot.microsoft.com

Microsoft Copilot。Windows や Edge に統合されているため、業務 PC からの流入で見かけることがあります。

claude.ai

Claude。ウェブ検索を伴う回答からのリンク流入。他の AI と同様、参照元が残った訪問のみ捕捉できます。

網羅したリストを目指さなくて大丈夫です。主要な 5 つを入れておけば、AI 流入の「見える化」は一気に進みます。新しい AI サービスが定着してきたら、その都度ドメインを 1 つ追加するだけ。最初から全部そろえようとして手が止まるより、まず動かすことが大切です。

5. 計測の限界を正直に受け止める

ここで誇張を 1 つ正しておきます。カスタムチャネルグループを作っても、AI 流入を 100% 捕捉できるわけではありません。

この設定で救えるのは「参照元がまだ残っている訪問」だけです。スマートフォンのアプリ内ブラウザが参照元を削除したぶん、ユーザーが URL をコピペしたぶんは、参照元そのものが存在しないため、どんな正規表現を書いても拾えません。これは設定の不備ではなく、計測技術の原理的な限界です。

だから設定後に見える「AI assistants」の数字は、実際の AI 流入より少ないと理解しておきます。それでも価値はあります。ゼロだったものが「最低でもこれだけはある」という下限値として見えるようになる。傾向の変化を追えるようになる。すべてを捉える計測ではなく「方向が分かる計測」を手に入れる、と考えるのが正確です。

実際の AI 流入(本当の総量) この全体は誰にも正確には見えない 設定で見えるようになる範囲 参照元が残った訪問=下限値 取りこぼし(原理的に不可視) 「方向が分かる」 計測で十分役に立つ
図 4:見えるのは AI 流入の「下限値」。全量ではないが、傾向を追うには十分な手がかりになる。

6. 設定後に見るべき 3 つの指標

チャネルが作れたら、次は「何を見るか」です。3 つに絞ると追いやすくなります。1 つ目は AI assistants チャネルのセッション数の推移。月単位で右肩上がりか横ばいかを見ます。

2 つ目は、AI assistants 経由の訪問がどのページに着地しているか。AI は具体的な疑問に答えるとき、その答えが書かれたページを引用します。着地ページを見れば「自社のどの記事が AI に拾われているか」が分かります。

3 つ目は、その訪問が問い合わせなどの行動につながったか。AI 流入は量こそ大きくないものの、目的が明確な訪問者が多い傾向が指摘されています。コンバージョンを軸に見れば、量の小ささに惑わされず価値を評価できます。計測の土台づくりは JSON-LD 構造化データ実装ガイドと同じく、地味でも後から効いてくる作業です。

よくある質問

GA4 はなぜ AI 流入を Direct に誤分類するのですか?
主な原因は 2 つです。1 つはモバイルアプリ内ブラウザ(webview)が参照元情報(referrer)を削除すること。もう 1 つは、ユーザーが AI の回答に出た URL を手でコピーしてブラウザに貼る行動です。どちらも参照元が残らないため、GA4 は流入を Direct に分類してしまいます。
カスタムチャネルグループを作ると既存のデータも分類し直されますか?
はい。GA4 のカスタムチャネルグループは、過去のデータにも遡って適用されます。新しくルールを作っても、それまで蓄積された参照元データが残っていれば、その範囲で AI assistants チャネルに振り分けられて表示されます。
どの参照元ドメインを AI として登録すればよいですか?
代表的なのは chatgpt.com・perplexity.ai・gemini.google.com・copilot.microsoft.com・claude.ai です。AI サービスは新しいものが次々に登場するため、正規表現のリストは数か月ごとに見直すことをおすすめします。
設定すれば AI 流入を 100% 捕捉できますか?
できません。カスタムチャネルグループは参照元が残っている訪問だけを分類できます。モバイルアプリ内ブラウザが参照元を削除したぶんは、原理的に取りこぼします。設定後も「実際の AI 流入はこの数字より多い」と理解しておくことが大切です。
小さな会社でもここまで計測する必要がありますか?
必要です。むしろ訪問数が少ない事業者ほど、流入の内訳を 1 件単位で把握できる価値が大きいです。AI 経由の問い合わせが月に数件あるかどうかは、今後の発信方針を決める材料になります。設定は一度きりで、費用もかかりません。

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出典

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