相関マトリクス (相関ヒートマップ) は、監視中の 10 銘柄が互いにどれだけ同じ方向に動いているかを色で示すボックスです。 一見地味ですが、「気づかないうちに同じリスクを二重に取っていないか」を防ぐ、リスク管理の要になります。
何を計算しているのか — 対数収益率のピアソン相関
相関は「価格そのもの」ではなく「対数収益率 (log return)」に対して計算します。手順は次の通りです。
1. 各銘柄の終値の系列を取得
2. 対数収益率に変換: return = ln(終値) の差分
3. 銘柄ペアごとにピアソン相関係数 r を計算 (−1 〜 +1) なぜ価格そのものではなく対数収益率を使うのか。価格の水準そのもの (例: ゴールドは 3000 ドル台、ドル円は 150 円台) をそのまま比べても意味がありません。 「変動の方向と幅」だけを取り出して比較するために、収益率に変換してから相関を測ります。対数を使うのは、変化率を加法的に扱えて統計的に素直なためです。
相関係数の意味
| 相関係数 r | 色 | 意味 |
|---|---|---|
| +0.7 〜 +1.0 | 濃赤 | 強い正の相関 (ほぼ同じ動き) |
| +0.3 〜 +0.7 | オレンジ | 弱い正の相関 |
| −0.3 〜 +0.3 | グレー | ほぼ無相関 (独立) |
| −0.7 〜 −0.3 | 青 | 弱い逆相関 |
| −1.0 〜 −0.7 | 濃青 | 強い逆相関 (反対の動き) |
時間窓の切り替え (20 / 100 / 500 本)
相関は見る期間で変わります。3 つの窓を切り替えられます。
- 20 本 (短期): 直近の地合い。指標発表などで一時的に相関が跳ねることがある。
- 100 本 (中期): 通常のポジション保有期間に近い実用的な窓。
- 500 本 (長期): 構造的な関係。例: ゴールドと米ドルの長期的な逆相関傾向。
実用 — 「重複リスク」を避ける
相関マトリクスの最大の使いどころは、同時に持つポジションが実質同じ賭けになっていないかのチェックです。
例: 二重リスクの発見
EURUSD ロングと GBPUSD ロングを同時に持つとします。この 2 つが +0.8 の強い正相関なら、
実質「USD 売り」に 2 倍賭けているのと同じです。狙ったつもりのない集中リスクを、ヒートマップが一目で教えてくれます。
逆に −0.8 の逆相関ペアを両方ロングすれば、損益が打ち消し合って動かない、という事態も避けられます。
注意点 — 相関は変化する
相関は固定ではありません。平常時は無相関でも、リスクオフ局面では多くの通貨が一斉に「対 USD で売られる」など、 危機時に相関が急上昇する現象がよく起きます。だからこそ短期 (20 本) の窓で「いま相関が高まっていないか」を監視する価値があります。
まとめ
- 相関は対数収益率に対するピアソン相関係数 (−1〜+1) で計算する
- 濃赤 = 強い正相関、濃青 = 強い逆相関、グレー = 無相関
- 20/100/500 本で短期〜長期の関係を切り替えて見る
- 同方向の強相関ペアを複数持つ = 二重リスク。これを避けるのが主用途
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